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はじめに刑事弁護「専門」とは

誠実な弁護活動の積み重ねの先に

最近では、刑事弁護の「専門」を名乗る弁護士の事務所も多くなりました。弁護士の広告が自由化されたことにより、弁護士が各自の得意分野を明確にし、相談者が弁護士を選びやすい環境が生まれたことは、とても良いことだと思います。

ただし、現在、弁護士の広告における「専門」表記は、日本弁護士連合会や弁護士会等の客観的な認定制度を経てなされているわけではありません。つまり、誰でも「専門」を名乗ることが事実上可能となっている状態です。極端をいえば、刑事事件を1件もやったことがない弁護士でも、刑事弁護の「専門」であると名乗れる状況となっています。さすがにそのような弁護士はいないと思いますが、刑事弁護「専門」と名乗っていても、その内実は様々です。

具体的には、同じ刑事弁護「専門」といっても、弁護士になってから「刑事事件だけをやっている」ために刑事弁護「専門」と名乗っている場合もあれば、弁護士として様々な分野を手掛ける中で刑事事件の実績を重ねた結果として、刑事弁護「専門」を名乗るに至っている場合もあります。

誤解のないように申し上げると、前者はダメで後者のほうが良い、ということではありません。たしかに後者の方が、実績に裏付けられた専門性を備えている点や、刑事事件から派生した民事事件など他分野の事件についても的確なサポートを期待できるという面はあります。しかし、初めから「刑事弁護だけをやっている」という弁護士にも、特定の分野に絞ることで業務を効率化したり、同種事件について短期間に多くの経験を積んだりできる強みがあるといえます。ただ、広告における刑事弁護「専門」という表記が、必ずしも刑事事件の実績に裏付けられているとは限らないことには注意しておく必要があります。

また、この点に関連していえば、インターネット上の広告の中で、刑事弁護の「実績」として強調されている事例の中には、果たして専門性を裏付けるだけの実績と呼べるのか首をひねりたくなるケースも無いわけではありません。たとえば、弁護人が、勾留に不服を申立てて被疑者が釈放されたり、被害者と示談することで起訴を免れたり、執行猶予付きの判決を得たりすることは、事案の重大さや複雑さによっては、たしかに専門性を裏付ける実績と呼べる場合もあります。しかし、他方で、平均的な能力を有する弁護士であれば、誰が担当しても、同じ結果になったのではないかと思われるケースも多数あるのが事実です。弁護士が、そのような事例まで、刑事事件の専門性を裏付ける実績として強調することは、広告を見る側に、弁護士の専門性を誤解させ、かえって弁護士への信頼を損なうことになるのではないかと懸念されます。

当事務所の弁護士が担当した事例の中には、無罪判決や重大事件における執行猶予判決など、刑事弁護の専門性を裏付ける実績と呼べるものもありますが、どの弁護士も、派手な成果だけを追い求めるのではなく、小さな事件や、ありふれた事件についても、依頼人のために最善の結果を目指しています。その結果の多くは、「実績」として強調するほど華々しいものではありませんが、当事務所の誠実な弁護活動を示すものであり、本当の意味での刑事弁護の専門性は、そうした取り組みを重ねる中で培われていくものだと考えています。当事務所の弁護士による弁護活動の例については、「事件別 事例と解説」をご覧ください。

はじめに

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